薄型エコキュートは一般的な機種に比べて奥行きが狭く、狭小スペースに設置しやすいエコキュートです。デザイン性に優れていることもメリットになります。
一方で、一般的な角型エコキュートと違うポイントがあるため、薄型エコキュートの購入を考えている方は違いやデメリットなどを知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、薄型エコキュートについて解説します。メリットやデメリット、角型エコキュートとの違いも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。
ヒートポンプユニットで空気を圧縮して高温にすると、お湯を沸かして貯湯タンクユニットに溜めておき、必要に応じて各所に給湯します。
空気の熱を利用しているため、従来のガス給湯器や電気温水器に比べて年間ランニングコストを抑えることが可能です。
基本的な仕組みはメーカーや機種でほとんど変わりませんが、貯湯タンクユニットの形状が機種によって異なる場合があるため、選ぶ時のポイントの1つです。
なお、薄型エコキュートとは、貯湯タンクユニットの奥行きが一般的なエコキュートよりも薄い機種を指します。
貯湯タンクユニットの形状
エコキュートの貯湯タンクユニットの一般的な形状は角型です。底面が正方形に近く、背よりも大きい縦長の形状をしています。
薄型エコキュートは貯湯タンクユニットの形状が角型よりも薄く、狭いスペースに設置できるようなサイズです。
薄型に定義はありませんが、一般的な角型エコキュートの貯湯タンクユニットの奥行きが約70cmに対して、薄型では約45cm前後となっています。
また、メーカーや機種によっては1人~2人用家庭向けのコンパクトや、通常の角型エコキュートよりも背の高さが抑えられている低背タイプなどもあるため、気になる方はチェックしてみましょう。
なお、エコキュートはヒートポンプユニット、貯湯タンクユニット、リモコンユニットの3つで構成されていますが、ヒートポンプユニットの形状やサイズにメーカーや機種による違いは少ないです。
薄型エコキュートのデメリット
薄型エコキュートは角型エコキュートに比べて奥行きが狭いため、次のようなデメリットがあります。
- 横幅が広くなる
- 選択肢が限定される
- 給湯効率が下がる
- 角型よりも高い
上記のデメリットを順番に解説します。
横幅が広くなる
メーカーや機種によって異なりますが、同じ貯湯容量のエコキュートに対して、奥行きが狭くなった分だけ横幅が広くなります。
例えば、パナソニックの「HE-JPU46LQS」は貯湯容量が460Lの角型エコキュートです。貯湯タンクユニットの高さが217cm、横幅が60cm、奥行きが68cmになります。
同じメーカーで、同じく貯湯容量が460Lの薄型エコキュート「HE-W46KQS」は、貯湯タンクユニットの高さが219.9cm、横幅が107.8cm、奥行きが44cmです。
住宅の形状と敷地によっては、横幅が広いことで設置できる場所が限られてしまう可能性があります。
貯湯容量が同程度なら、薄型エコキュートでは奥行きが狭くなった分、横幅を大きく取る必要があると覚えておきましょう。
選択肢が限定される
エコキュートは角型エコキュートが一般的な形状で、メーカーのハイエンドモデルやバリエーションなども豊富です。
一方で、薄型エコキュートはメーカーにもよりますがハイエンドモデルのシリーズがなかったり、バリエーションが限られていたりするなどのケースは珍しくありません。
実際、パナソニックのハイエンドモデルはウルトラ高圧フルオートになりますが、シリーズのなかに薄型は無いです。
薄型エコキュートは選択肢が限定され、欲しいと思った機種が購入できない可能性があることに注意しましょう。
給湯効率が下がる
薄型エコキュートの最大のデメリットは、貯湯容量や搭載している機能が同じ角型エコキュートに比べて、給湯効率が下がることです。
給湯効率とは、お湯を沸かした時の効率を数値化しているもので、エコキュートの省エネ性能を比較するときの指標になります。
例えば、パナソニックの角型エコキュート「HE-N46LQS」の年間給湯保温効率は3.6です。一方で、パナソニックの薄型エコキュート「HE-W46KQS」の年間給湯保温効率は3.0になります。
搭載されている機能に違いはないのに、給湯効率で大きな差が生じるのは薄型エコキュートのタンクが2つに分かれているためです。
タンクが2つに分かれているため、角型エコキュートよりもお湯が冷めやすく、給湯効率が悪いです。
角型よりも高い
薄型エコキュートの最後のデメリットは、同じ貯湯容量や性能、機能の角型エコキュートよりも販売価格が若干高い傾向があることです。
例えば、「エコのたつじん」で販売されているパナソニックエコキュートの「HE-N46LQS」は角型エコキュートで販売価格が約55.7万円(税込)に対して、薄型エコキュート「HE-W46KQS」の販売価格が約58.0万円になります。
基本的に、どのメーカーでも貯湯容量が同じで、搭載している機能もほとんど同じでも、内部のタンクが2つあるため薄型エコキュートのほうが高くなるケースが多いです。
薄型エコキュートのメリット
薄型エコキュートにしかないメリットは以下のとおりです。
- 狭小スペースに設置できる
- デザイン性に優れている
上記のメリットを順番に解説します。
狭小スペースに設置できる
薄型エコキュートの最大のメリットは、角型エコキュートよりも狭いため狭小スペースに設置しやすいことです。
エコキュートの貯湯タンクユニットは基本的に建物の外に設置しますが、隣家や道路、塀との幅が60cm程度の狭小スペースでは角型エコキュートを設置することはできません。
風呂配管を延長すれば、風呂場から離れた場所に貯湯タンクユニットを置くことはできますが、遠くなってしまうと給湯時に温度が下がってしまうリスクがあります。
薄型エコキュートの奥行きは45cm前後のため、設置したい場所が狭小スペースでも問題ありません。
また、メーカーや機種にもよりますが角型よりも薄型のほうが搬入も楽になるため、設置したい場所が奥まった場所でも追加料金を取られにくいです。
デザイン性に優れている
角型エコキュートは冷蔵庫のような見た目をしているため、設置している環境によっては外から目立つことが多いです。
薄型エコキュートはメーカーや機種にもよりますが、壁に沿うような形状になっているため、角型エコキュートよりも目立たない可能性があります。壁の色と違い色合いの薄型エコキュートを選べば、目立たせることなく設置が可能です。
薄型エコキュートと角型エコキュートの違い
次の表は薄型エコキュートと角型エコキュートの違いをまとめたものです。
薄型エコキュート | 角型エコキュート | |
---|---|---|
価格 | ○ | ◎ |
選択肢 | 〇 | ◎ |
給湯効率 | 〇 | ◎ |
狭小スペース | ◎ | 〇 |
デザイン性 | ◎ | 〇 |
性能面や価格などで比較すると、薄型エコキュートよりも角型エコキュートのほうが優れています。また、選択肢が豊富なことも魅力の1つです。
一方で、薄型エコキュートは狭小スペースに設置できることが大きなメリットになります。また、デザイン性に優れるため、家の景観を損ないにくいことも特徴です。
そのため、エコキュートの性能やランニングコスト、コストパフォーマンスを重視するなら角型エコキュートを、狭小スペースに設置したい場合や家の景観を考えるなら薄型エコキュートがおすすめと覚えておきましょう。
薄型エコキュートは購入しては駄目なの?
薄型エコキュートは角型エコキュートよりも劣っている点はありますが、購入しては駄目なことはありません。
確かに、薄型エコキュートは同じ貯湯容量で同じ機能を搭載している角型エコキュートに比べて、年間給湯保温効率が0.5~0.8程度低い傾向はあります。
しかし、年間給湯保温効率は0.1の違いは、お湯を沸かすためのランニングコストが年間約1,000円違う程度です。0.5~0.8の差なら、給湯代が年間で5,000円~10,000円程度高くなる程度のため、ランニングコストが角型に比べて極端に高額になるわけではありません。
次の表は、三菱の角型エコキュート「SRT-S466U」(給湯効率3.8)と薄型エコキュート「SRT-S436UZ」(給湯効率3.0)のランニングコストをシミュレーションしたものです。
SRT-S466U | SRT-S436UZ | |
---|---|---|
形状 | 角型 | 薄型 |
給湯効率 | 3.8 | 3.0 |
1月 | 5,726円 | 7,194円 |
2月 | 5,026円 | 6,308円 |
3月 | 4,094円 | 5,145円 |
4月 | 3,600円 | 4,512円 |
5月 | 3,112円 | 3,889円 |
6月 | 2,475円 | 3,098円 |
7月 | 1,932円 | 2,432円 |
8月 | 1,563円 | 1,972円 |
9月 | 1,773円 | 2,229円 |
10月 | 2,669円 | 3,338円 |
11月 | 3,173円 | 3,977円 |
12月 | 3,173円 | 4,917円 |
年間 | 39,058円 | 49,011円 |
実際のランニングコストは住んでいる場所や気温などによって異なりますが、薄型エコキュートのランニングコストが角型エコキュートよりも大幅に高いわけではないと分析できます。
また、角型エコキュートに比べて薄型エコキュートは販売価格がやや高い傾向はありますが、エコキュートは販売業者によって販売価格が異なるため、お得に購入できる業者を選べば良いです。
最近の薄型エコキュートは省エネ性能が良くなっており、主要メーカーの最新機種なら経済産業省資源エネルギー庁が開催している「給湯省エネ2024事業」の条件を満たして、補助金を受け取ることができます。
「給湯省エネ2024事業」では条件を満たしているエコキュートに対して1台につき8万円の補助金が貰えるため、高価な薄型エコキュートが購入しやすくなります。
薄型エコキュートは角型エコキュートに比べてデメリットが多いように思えますが、多くの点で劣っているわけではありません。薄型エコキュートにしかないメリットもあるため、安心して購入しましょう。
まとめ
以上が、薄型エコキュートの解説になります。次の表は、薄型エコキュートのメリットとデメリットをまとめたものです。
薄型エコキュート | |
---|---|
メリット | 狭小スペースに設置できる デザイン性に優れている |
デメリット | 横幅が広くなる 選択肢が限定される 給湯効率が下がる 角型よりも高い |
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、従来のガス給湯器や電気温水器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが大幅に抑えられます。
敷地が狭くて角型エコキュートが置けない方は、薄型エコキュートを購入して、給湯代の節約効果を得ましょう。
「エコのたつじん」では、主要メーカーの薄型エコキュートを低価格で販売しております。エコキュートに関する知識が豊富なスタッフが対応したしますので、薄型エコキュートの購入を考えている方は、ぜひご相談ください。