住宅を新築する際や、リフォームする際にオール電化とガス併用で迷う方がいるかもしれません。オール電化とガス併用はそれぞれメリットとデメリットがあるので、選ぶ際には知っておくことが重要です。
そこで今回は、オール電化とガス併用のメリットやデメリット、コストなどをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
オール電化とは?
オール電化とは、調理や空調、給湯などの場面で必要となるエネルギーをすべて電気で賄っている住宅を指します。
給湯器はエコキュートや電気温水器、コンロはIHクッキングヒーター、暖房はエコキュートの熱を利用した床暖房や蓄熱ヒーターなどを購入しており、ガス会社と契約していません。
ガス併用とは?
ガス併用とは、給湯や空調、給湯などの場面で必要となるエネルギーを、電気とガスを併用している住宅を指します。
正式な定義はありませんが、給湯器やコンロなどの住宅設備機器で1ヵ所だけでもガスを使用する機器を使用しており、ガス会社と電力会社の両方と契約しているならガス併用と呼びます。
オール電化のメリット・デメリット
オール電化のメリット・デメリットは以下のとおりです。
オール電化 | |
---|---|
メリット | ガス契約が不要 ランニングコストが安くなる可能性がある オール電化向けの住宅設備機器は便利な機能を搭載している |
デメリット | 初期費用が高額 ライフスタイルによってはランニングコストが高くなる可能性がある 使いこなすまで時間がかかる |
上記のメリット・デメリットを順番に解説します。
オール電化のメリット
オール電化のメリットは以下のとおりです。
- ガス契約が不要
- ランニングコストが安くなる可能性がある
- オール電化向けの住宅設備機器は便利な機能を搭載している
オール電化の最大のメリットは、調理や空調、給湯などの場面でガスを必要としなくなるので、ガス会社との契約が不要になることです。電力会社との契約のみとなるので、家計の管理がしやすくなり、ガスを使用しないので火事やガス漏れなどの心配が減ります。
また、オール電化の住宅設備機器のなかには、ランニングコストが安くなる機器もあります。例えば、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、ガス給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが大幅に安いです。
次の表は、同じ湯量を沸かした場合のエコキュートとガス給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | ガス給湯器 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,400円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約98,400円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約112,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約73,200円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約81,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約75,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約108,000円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約93,600円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約102,000円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約62,400円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数などによって異なりますが、どのエリアでもガス給湯器よりもエコキュートのほうがランニングコストは抑えられます。
ほかにも、エコキュートやIHクッキングヒーターは次のような便利な機能を搭載している機種があります。
搭載している機能 | |
---|---|
エコキュート | 深紫外線採用のUV-LEDユニット マイクロバブル機能 断水時には貯湯タンクユニットのお湯を生活用水として使用可能など |
IHクッキングヒーター | 油を一定の温度に保つ揚げ物温度調整 火力を自動で制御する自動湯沸かし器 料理が苦手な方でも安心できる自動調理機能など |
最新のガス給湯器やガスコンロにも搭載している場合はありますが、エコキュートやIHクッキングヒーターのほうが高性能で多機能な傾向があるので、生活の質(QOL)を上げたい方はエコキュートやIHクッキングヒーターへの買い替えを検討してみましょう。
オール電化のデメリット
オール電化のデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高額
- ライフスタイルによってはランニングコストが高くなる可能性がある
- 使いこなすまで時間がかかる
オール電化の最大のデメリットは初期費用が高額なことです。
メーカーや機種によって異なりますが、ガス給湯器や石油給湯器の工事費込みの相場が15万円~30万円に対して、エコキュートは40万円~70万円と高額な傾向があります。
ガスコンロの場合はビルトインタイプなら5万円~20万円、IHクッキングヒーターのビルトインタイプなら10万円~30万円程度となっており、オール電化の住宅設備機器は高額です。
また、ライフスタイルによってはランニングコストが高くなる可能性も否定できません。
例えば、関西電力エリアでエコキュートを導入すると次のような料金プランに変更になります。
はぴeタイムR | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 最初の10kWまで | 1契約 | 2,409.40円 | |
10kWを超える1kWにつき | 1kW | 416.94円 | ||
電力量料金 | デイタイム (平日10時~17時) |
夏季 | 1Wh | 28.87円 |
その他季 | 26.24円 | |||
リビングタイム (平日7時~10時と17時~23時、休日扱い日の7時~23時) |
22.80円 | |||
ナイトタイム (毎日23時~翌7時) |
15.37円 |
上記のように時間や季節によって電気量料金単価が変動するプランを季節別時間帯別電灯と呼び、昼の時間帯の電気代が割高です。
子どもが幼くて日中は家で過ごしている、テレワークで在宅する必要があるなど、日中の使用電力量が多い家庭では、エコキュートに買い替えたことで電気代が高くなってしまう可能性があります。
ほかにも、エコキュートはガス給湯器と違って貯湯式給湯器なので、シャワーの勢いが弱い、湯切れを起こすリスクがあり、IHクッキングヒーターは一部の鍋やフライパンが使用できなくなります。
オール電化に慣れているなら問題ありませんが、ガス併用からオール電化に変えたら、住宅設備機器の使い方やデメリットに慣れるまでに時間がかかります。
ガス併用のメリット・デメリット
ガス併用 | |
---|---|
メリット | 初期費用が安い シンプルな仕組みで使いやすい 商品の選択肢が多い |
デメリット | ランニングコストが高い 事故が起きる可能性はある |
上記のメリット・デメリットを順番に解説します。
ガス併用のメリット
ガス併用のメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が安い
- シンプルな仕組みで使いやすい
- 商品の選択肢が多い
ガス併用の最大のメリットは、住宅設備機器の初期費用が安いことです。次の表は、ガス併用とオール電化の住宅設備機器を導入する際の工事費込みの相場をまとめたものになります。
住宅設備機器の相場 | |
---|---|
ガス併用 | ガス給湯器…15万円~30万円 ガスコンロ…5万円~20万円 |
オール電化 | エコキュート…40万円~70万円 IHクッキングヒーター…10万円~30万円 |
また、ガス併用の住宅設備機器のほうがシンプルな仕組みとなっているので使いやすく、商品の選択肢が豊富といったメリットもあります。
ガス併用のデメリット
ガス併用のデメリットは以下のとおりです。
- ランニングコストが高い
- 事故が起きる可能性はある
ガス併用の最大のデメリットは、給湯や調理のランニングコストが高くなる傾向があることです。
次の表は、大阪府でエコキュートとガス給湯器を使用した場合のランニングコストをシミュレーションしたものになります。
エコキュート(電気) | ガス給湯器(都市ガス) | ガス給湯器(プロパンガス) | |
---|---|---|---|
1月 | 5,549円 | 10,707円 | 17,526円 |
2月 | 5,293円 | 10,055円 | 16,440円 |
3月 | 5,371円 | 10,648円 | 17,429円 |
4月 | 3,448円 | 9,112円 | 14,878円 |
5月 | 3,142円 | 8,229円 | 13,414円 |
6月 | 2,731円 | 7,374円 | 11,996円 |
7月 | 1,907円 | 6,297円 | 10,214円 |
8月 | 1,753円 | 5,817円 | 9,419円 |
9月 | 2,263円 | 6,440円 | 10,448円 |
10月 | 2,875円 | 7,630円 | 12,421円 |
11月 | 3,291円 | 8,545円 | 13,938円 |
12月 | 4,970円 | 9,895円 | 16,178円 |
合計 | 42,593円 | 100,749円 | 164,301円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数などによって異なりますが、基本的にエコキュートのほうが抑えられており、ガスの種類によっては高額になる可能性があります。
また、ガス併用の住宅設備機器はシンプルな仕組みなので使いやすいですが、火事やガス漏れなどの事故が起きる可能性を否定できません。
オール電化とガス併用のどちらが良いの?
ランニングコストを抑えるならオール電化が、住宅設備機器の初期費用を抑えるならガス併用がおすすめです。
オール電化とガス併用のメリット・デメリットは以下のとおりになります。
オール電化 | ガス併用 | |
---|---|---|
メリット | ガス契約が不要 ランニングコストが安くなる可能性がある オール電化向けの住宅設備機器は便利な機能を搭載している |
初期費用が安い シンプルな仕組みで使いやすい 商品の選択肢が多い |
デメリット | 初期費用が高額 ライフスタイルによってはランニングコストが高くなる可能性がある 使いこなすまで時間がかかる |
ランニングコストが高い 事故が起きる可能性はある |
オール電化は機器にもよりますが、給湯や空調、調理などにかかるランニングコストをガス併用よりも抑えることが可能です。特に、エコキュートは省エネ性能の高い給湯器で、年間数万円の節約効果を期待できます。
一方で、オール電化は初期費用が高額な傾向があります。
エコキュートとIHクッキングヒーターを同時に導入する場合、工事費込みの相場は50万円~100万円です。ガス給湯器とガスコンロなら、同時に導入しても工事費込みで20万円~50万円に比べると、オール電化の初期費用は高いと言えます。
そのため、ランニングコストを抑えたい方はエコキュートやIHクッキングヒーターの導入を、初期費用を節約したい方はガス給湯器やガスコンロの導入を検討してみましょう。
まとめ
以上が、オール電化とガス併用の解説になります。オール電化は給湯や調理などのランニングコストを抑えることができ、ガス併用は住宅設備機器の初期費用を節約できます。
短期的に見ればガス併用のほうがお得ですが、長期的に見ればオール電化のほうがお得になるので、可能であればエコキュートやIHクッキングヒーターの導入をおすすめします。
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