ガス給湯器が壊れたときに、次の給湯器をガス給湯器にするか、エコキュートにするか悩む方もいるかもしれません。ガス給湯器とエコキュートは給湯の仕組みやメリット、デメリットがあるので、検討する際は違いを知っておくと良いです。
そこで今回は、ガス給湯器からエコキュートに交換するための導入費用やランニングコストなどをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
ガス給湯器からエコキュートに交換するための費用は?
ガス給湯器からエコキュートに交換するために発生する費用は以下のとおりです。
- エコキュートの本体費用
- エコキュートを設置するための工事費用
エコキュートは最近の社会情勢や経済状況の変化によって値上げ傾向があり、2023年時点での本体費用は30万円~50万円程度となっています。
ガス給湯器からエコキュートに交換するためには、「貯湯タンクユニットを設置できるスペース」と「エコキュートを使用するための電気工事」が必要になります。
貯湯タンクユニットは本体だけでも60kg~90kgあり、満水時には400kg~600kgまで重くなります。設置スペースによっては重さで沈んだり、傾いたりする恐れがあり、地震が発生したら倒れてしまう危険性があります。
そのため、ガス給湯器からエコキュートに交換する際には貯湯タンクユニットを設置して、転倒防止策としてアンカーが付けられる基礎台の工事が必要です。
また、エコキュートは200Vが必要な住宅機器ですが、住宅によっては対応していない場合があります。対応していない住宅にエコキュートを設置するためには、電気工事が必要になります。
そのため、施工業者や住宅状況によって多少異なりますが、次のような工事を行います。
- エコキュートの運搬
- ガス給湯器の撤去
- 基礎台工事
- 配管接続工事
- 電気工事
- リモコン工事
- 試運転
- 電力会社への申請
上記の基礎工事は施工業者によって金額が異なりますが、10万円~20万円程度が相場です。
つまり、ガス給湯器からエコキュートに交換するために必要な費用は、エコキュートの本体費用として30万円~50万円、エコキュートを設置するための工事費用として10万円~20万円、合計すると40万円~70万円になります。
エコキュートはメーカーや機種、販売業者によって価格は異なりますが、ガス給湯器から買い替えた場合の導入費用として、40万円~70万円程度掛かると覚えておきましょう。
ガス給湯器とは?
ガス給湯器はガスを燃焼させてお湯を沸かす給湯器です。お湯側の蛇口をひねると、給湯器内部でガスが点火して金属のパイプを加熱します。パイプ内部では水道水が温められており、各所に給湯されます。
ガス給湯器のように給湯時に水道水を温める仕組みを「瞬間式」と呼び、一般的なガス給湯器で採用されています。瞬間式のガス給湯器は給湯時に水道水を温めているので、水道水の水圧を利用できるメリットがあります。
エコキュートとは?
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。エアコンにも用いられているヒートポンプ技術により、空気を圧縮することで発生させた熱を利用してお湯を沸かし、貯湯タンクユニットで貯めておいて、必要に応じて各所に給湯します。
エコキュートの場合、深夜にお湯を沸かして貯湯タンクユニットに貯めておくので、「貯湯式」と呼びます。貯湯式のエコキュートはガスを必要としないため安全で、ランニングコストが抑えられているなどのメリットがあります。
ガス給湯器とエコキュートの違いは?
ガス給湯器とエコキュートの違いは以下のとおりです。
ガス給湯器 | エコキュート | |
---|---|---|
お湯を沸かすために必要なエネルギー | ガス | 電気と空気の熱 |
給湯の仕組み | 瞬間式 | 貯湯式 |
メリット | 水道水の水圧を利用できる 設置スペースを取らない 導入費用が抑えられる |
ガスを使わないので安全性が高い ランニングコストが抑えられる |
デメリット | ランニングコストは高い | 貯湯タンクユニットの設置スペースが必要 導入費用が高い 湯切れのリスクがある |
ガス給湯器とエコキュートの大きな違いは「導入費用」と「お湯を沸かすためのランニングコスト」の2つです。それぞれ、順番に解説します。
ガス給湯器とエコキュートの導入費用
ガス給湯器からエコキュートに交換するための導入費用は、40万円~70万円が相場です。一方、ガス給湯器からガス給湯器に交換するための導入費用は15万円~25万円が相場です。
- ガス給湯器からエコキュート…40万円~70万円
- ガス給湯器からガス給湯器…15万円~25万円
ガス給湯器に交換する場合、ガス給湯器の本体価格が10万円~20万円、工事費用が5万円前後と、エコキュートに比べて導入費用が抑えられています。
ガス給湯器はエコキュートに比べて構造やお湯を沸かすための仕組みがシンプルなため、追い焚き機能や暖房機能を搭載している最上位モデルでも、本体価格の相場は20万円前後です。
また、ガス給湯器からガス給湯器に交換するので、給湯量を示す号数が変わらず、設置場所も変更しないなら工事の手間が最小限で済みます。
メーカーや機種、販売業者によって異なりますが、エコキュート導入する場合はガス給湯器に比べて25万円~45万円ほど高くなると覚えておきましょう。
ガス給湯器とエコキュートのランニングコスト
次の表は、同じ湯量を沸かした場合の年間ランニングコストを比較したものです。
ガス給湯器 | エコキュート | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約104,400円 | 約54,000円 |
東北電力エリア | 約98,400円 | 約48,000円 |
北陸電力エリア | 約112,800円 | 約42,000円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約73,200円 | 約37,200円 |
中部電力エリア | 約81,600円 | 約25,200円 |
関西電力エリア | 約75,600円 | 約20,400円 |
中国電力エリア | 約108,000円 | 約43,200円 |
四国電力エリア | 約93,600円 | 約44,400円 |
九州電力エリア | 約102,000円 | 約20,400円 |
沖縄電力エリア | 約62,400円 | 約27,600円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数によって異なりますが、ガス給湯器よりもエコキュートのほうがランニングコストは大幅に抑えられます。
エコキュートは既にある空気中の熱を利用してお湯を沸かすため、ほかの給湯器よりもお湯を沸かすためのランニングコストが安いです。また、電気料金が安い深夜にお湯を沸かしていることも、ランニングコストを抑える要因の1つです。
ガス給湯器とエコキュートのどちらを選べばいいの?
ガス給湯器とエコキュートは給湯の仕組みやメリット、デメリットなどが異なります。家族の人数やライフスタイルによっておすすめの給湯器は違ってくるので断言できませんが、ガス給湯器から買い替えるならエコキュートがおすすめです。
エコキュートに交換した場合、ガス給湯器に交換するよりも導入費用が25万円~45万円ほど高くなります。しかし、エコキュートはガス給湯器に比べて年間ランニングコストが大幅に抑えられています。
ガス給湯器からエコキュートに交換した場合、関西電力エリアなら年間約55,200円の節約が可能です。エコキュートを10年間使用していれば、約55万円の節約効果となるので、導入費用の差額を回収して、ある程度の節約効果を得られる可能性はあります。
また、エコキュートは貯湯タンクユニットにお湯を貯めておくので、台風や地震などの災害で断水しても、一定量の生活用水を常に確保できます。飲用水としての利用は推奨されていませんが、万が一の事態に備えておけるため安心できます。
短期的に考えたらガス給湯器のほうがお得ですが、10年以上の長期的に考えた場合のトータルコストではエコキュートのほうがお得なので、検討してみましょう。
エコキュートに買い替えるなら補助金制度を活用してみる
エコキュートに買い替える際のネックは高額な導入費用です。メーカーや機種、販売業者によって価格は異なりますが、エコキュートは本体費用と工事費用の合計が40万円~70万円と高額で、購入時に負担になります。
そのため、エコキュートに買い替えるなら補助金制度の活用がおすすめです。
エコキュートは省エネ性能の高い給湯器のため、国や地方自治体が補助金を出している傾向があります。
例えば、経済産業省エネルギー庁が開催している「給湯省エネ事業」では、条件を満たしているエコキュート1台につき5万円の補助金が支給されます。日本全国を対象にしている補助金制度で、地方自治体の補助金制度との併用が可能なこともポイントです。
住んでいる地方自治体でエコキュートの補助金制度があり併用可能なら、2種類の補助金制度から補助金を受け取ってエコキュートを購入できます。
エコキュートは高額な住宅機器なので、購入する際は住んでいる地方自治体の補助金制度の有無を確認しましょう。
まとめ
以上が、ガス給湯器からエコキュートに交換するための費用の解説です。ガス給湯器とエコキュートの違いは以下のとおりになります。
ガス給湯器 | エコキュート | |
---|---|---|
お湯を沸かすために必要なエネルギー | ガス | 電気と空気の熱 |
給湯の仕組み | 瞬間式 | 貯湯式 |
メリット | 水道水の水圧を利用できる 設置スペースを取らない 導入費用が抑えられる |
ガスを使わないので安全性が高い ランニングコストが抑えられる |
デメリット | ランニングコストは高い | 貯湯タンクユニットの設置スペースが必要 導入費用が高い 湯切れのリスクがある |
導入費用 | 15万円~25万円 | 40万円~70万円 |
年間ランニングコスト(関西電力エリア) | 約75,600円 | 約20,400円 |
ガス給湯器のほうが導入費用は安いですが、お湯を沸かすための年間ランニングコストはエコキュートのほうが抑えられているので、長期的に考えたらエコキュートへの交換がおすすめです。
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