石油給湯器はお湯を沸かすためのランニングコストが安い給湯器ですが、エコキュートは石油給湯器よりもランニングコストを抑えられる可能性があります。
お湯を沸かすランニングコストを節約したい方は、石油給湯器からエコキュートの買い替えを検討してみましょう。
本記事では、石油給湯器からエコキュートへの買い替えのメリットやデメリットを分かりやすく解説します。石油給湯器からエコキュートへの買い替えを考えている方は、参考にしてください。
石油給湯器からエコキュートに買い替えることはできる?
結論から申し上げますと、工事が必要になりますが石油給湯器からエコキュートへの買い替えは可能です。
石油給湯器とは石油(灯油)を用いてお湯を沸かす給湯器です。
灯油を霧状にして燃焼させるタイプや、気化器が内蔵されたバーナーでガス化して燃焼させるなど、メーカーや機種によって石油の燃やし方が異なりますが、大抵の場合はタンクが給湯器の本体近くに設置されます。
エコキュートは電気と空気の熱を用いて、お湯を沸かす給湯器です。
エアコンに用いられているヒートポンプユニットが空気の熱を取り込んで圧縮して高温にすると、水道水を温めてお湯にして、貯湯タンクユニットにて貯めておきます。必要に応じて各所に給湯する仕組みから、貯湯式給湯器に分類されます。
石油給湯器とエコキュートは、灯油やお湯を貯めておくタンクを用いているという共通点があり、ある程度の設置スペースが必要です。
そのため、石油給湯器を設置していた場所なら、エコキュートを設置できる可能性はあります。あとは、状況に応じて基礎工事や配管工事、電気工事などを済ませれば、石油給湯器からエコキュートへと切り替えることができます。
石油給湯器からエコキュートに買い替えるメリットは?
石油給湯器からエコキュートに買い替えるメリットは以下のとおりです。
- お湯を沸かすためのランニングコストを節約できる
- お湯を沸かすための手間が減る
- 火災や事故のリスクが減る
- 災害時の生活用水を確保できる
上記のメリットを順番に解説します。
お湯を沸かすためのランニングコストを節約できる
石油給湯器からエコキュートに買い替える最大のメリットは、お湯を沸かすためのランニングコストを節約できることです。次の表は、同じ湯量を沸かした場合のエコキュートと石油給湯器のランニングコストを比較した物になります。
エコキュート | 石油給湯機 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは料金プランや給湯器の性能、家族の人数などによって異なりますが、石油給湯器に比べてエコキュートの方がランニングコストを節約できます。
石油給湯器はガス給湯器や電気温水器に比べると熱量が高く、価格も安定しやすい傾向があるためランニングコストを抑えられる給湯器です。
しかし、エコキュートは石油給湯器よりもランニングコストを抑えられる可能性があるため、支出を減らしたい方は買い替えを検討してみましょう。
お湯を沸かすための手間が減る
石油給湯器からエコキュートに買い替えた場合の2つ目のメリットは、お湯を沸かすための手間が減ることです。
石油給湯器はお湯を沸かすために石油(灯油)を必要としますが、ガス給湯器のように配管を通じて自動的に供給されるわけではありません。給湯器の石油(灯油)が無くなったら、補充する必要があります。
地域によっては石油業者と契約して補充してもらうこともできますが、ご自身でガソリンスタンドまで出向いて購入する可能性もあります。夏場は暑く、冬場は寒い中を買いに行くのは面倒です。
石油給湯器からエコキュートに買い替えれば、石油(灯油)の購入や補充などの手間が減ります。フルオートタイプのエコキュートなら、ボタン1つでお湯はりから保温、追い焚きまでコントロールできるため、お風呂の時間を快適に過ごせます。
火災や事故のリスクが減る
石油給湯器からエコキュートに買い替える場合のメリットとして、火災や事故のリスクが減ることも挙げられます。
石油給湯器は石油(灯油)をタンクに貯めておき、お湯を作る際に消費します。家庭によっては補充するための石油(灯油)を敷地内の保管場所で保管している場合があります。
つまり、石油給湯器を使用していると、タンクや保管場所に石油(灯油)があるため、火災が発生する可能性を否定できません。
エコキュートは電気を利用する給湯器のため、石油給湯器に比べれば火災や事故が起きるリスクは低いです。安全面を考えると、石油給湯器からエコキュートへの買い替えをおすすめします。
災害時の生活用水を確保できる
石油給湯器からエコキュートへ買い替えると、災害時の生活用水を確保できるというメリットもあります。
エコキュートは貯湯式給湯器で、沸かしたお湯は貯湯タンクユニットで貯めておき、各所に給湯します。貯めておいたお湯は外部から取り出すことが可能です。
一般的なエコキュートの貯湯タンクユニットのサイズは370Lや460Lなどがあります。つまり、石油給湯器からエコキュートに買い替えれば、2Lペットボトル180本以上の生活用水を確保できます。
台風や地震などの災害でライフラインが止まったとしても、ある程度の生活用水を確保していることは心強いです。また、太陽光発電システムや蓄電池を併設していれば、停電時でもお湯を沸かして使用できます。
石油給湯器からエコキュートに買い替えるデメリット
石油給湯器からエコキュートに買い替えるデメリットは以下のとおりです。
- エコキュートは初期費用が高い
- エコキュートに変えることで電気料金のプランが変わる
- エコキュートは寒さに弱い
上記のデメリットを順番に解説します。
エコキュートは初期費用が高い
石油給湯器からエコキュートに買い替える最大のデメリットは、エコキュートの初期費用が高いことです。
メーカーや機種によって異なりますが、石油給湯器の初期費用は15万円~35万円に対して、エコキュートの初期費用は40万円~70万円です。初期費用の差額は25万円~55万円になります。
石油給湯器に比べてエコキュートはランニングコストが年間約2万円~5万円ほど少ないため、エコキュートを10年以上使用し続けていれば初期費用の差額を回収することは可能です。
しかし、エコキュートの初期費用は高額で、導入する際の大きな負担になります。
エコキュートに変えることで電気料金のプランが変わる
石油給湯器からエコキュートに買い替えると、夜に電気量料金単価が安くなる季節別時間帯別電灯に切り替えます。
例えば、関西電力エリアでエコキュートを購入すると「はぴeタイムR」に加入します。
はぴeタイムR | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 最初の10kWまで | 1契約 | 2,409.40円 | |
10kWを超える1kWにつき | 1kW | 416.94円 | ||
電力量料金 | デイタイム(平日10時~17時) | 夏季 | 1Wh | 28.87円 |
その他季 | 26.24円 | |||
リビングタイム(平日7時~10時・17時~23時、休日扱い日の7時~23時) | 22.80円 | |||
ナイトタイム(毎日23時~翌7時) | 15.37円 |
エコキュートは電気量料金単価が安い夜にお湯を沸かすため、ランニングコストを節約することができます。
しかし、昼間の電気量料金単価は割高となっており、日中に電気を使う家庭では石油給湯器からエコキュートに買い替えたことで家庭全体の電気代が高額になる可能性があります。
石油給湯器からエコキュートに買い替える際は電気代のシミュレーションを行い、場合によっては太陽光発電システムや蓄電池などの導入も検討してみましょう。
エコキュートは寒さに弱い
石油給湯器からエコキュートに買い替えた場合の最後のデメリットは、エコキュートは寒さに弱いことです。
エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、外気温が高いほど必要になるエネルギー(電気)は少なくなり、外気温が低いほど多くなる傾向があります。
次の表は、大阪府と青森県でのエコキュートのランニングコストを月ごとに比較したものです。
大阪府 | 青森県 | |
---|---|---|
1月 | 4,373円 | 5,733円 |
2月 | 4,139円 | 5,306円 |
3月 | 3,074円 | 5,720円 |
4月 | 2,465円 | 3,947円 |
5月 | 2,212円 | 3,651円 |
6月 | 1,677円 | 3,181円 |
7月 | 1,206円 | 2,800円 |
8月 | 924円 | 2,380円 |
9月 | 1,198円 | 2,560円 |
10月 | 1,775円 | 2,950円 |
11月 | 2,432円 | 3,391円 |
12月 | 3,002円 | 4,872円 |
大阪府と青森県の両方とも、外気温が低い季節になると電気代は高く、気温が上がる6月~9月にかけては安い傾向があります。また、同じ時期の電気代を比較すると、気温の低い青森県のほうが電気代は高いです。
実際のランニングコストは契約プランや給湯器の性能などによって異なります。しかし、エコキュートは寒さが厳しい地方では、ランニングコストの節約効果が小さくなると覚えておきましょう。
石油給湯器からエコキュートに買い替える手順
石油給湯器からエコキュートに買い替える場合、次の手順で行います。
- 1.現地調査
- 2.見積もりの提示
- 3.撤去・設置工事
上記の手順を順番に解説します。
現地調査
基本的に、エコキュートを設置する際には現地調査を行う必要があります。
エコキュートを設置できるスペースや、基礎工事の有無、配管の延長、電気関係などを確認しないと、石油給湯器からエコキュートに買い替えることができません。
業者によっては現地調査時にエコキュートへの要望を確認する場合があるため、欲しい機種や機能があるなら伝えましょう。
見積もりの提示
現地調査とお客様の要望を受けて、見積もりを提示します。見積内容に問題が無ければ契約し、工事の予定や支払い方法などを決定します。
撤去・設置工事
工事予定日には、次のような撤去・設置工事が行われます。
- エコキュートの運搬
- 石油給湯器の撤去
- 基礎台工事
- 配管接続工事
- 電気工事
- リモコン工事
- 試運転
- 電力会社への申請
特に、石油給湯器からエコキュートに買い替える際には電気工事が必須となります。また、上記の基礎工事とは別に、追加工事が発生する可能性があるので、見積もりに含まれているか確認しましょう。
エコキュートの試運転を済ませて、手続きが問題なく済めば石油給湯器からエコキュートへの交換は完了です。
まとめ
以上が、石油給湯器からエコキュートへの買い替えの解説です。石油給湯器からエコキュートへの買い替えは可能ですが、次のようなメリットやデメリットがあります。
石油給湯器からエコキュートへの買い替え | |
---|---|
メリット | お湯を沸かすためのランニングコストを節約できる お湯を沸かすための手間が減る 火災や事故のリスクが減る 災害時の生活用水を確保できる |
デメリット | エコキュートは初期費用が高い エコキュートに変えることで電気料金のプランが変わる エコキュートは寒さに弱い |
石油給湯器からエコキュートへの買い替えは多くのメリットがありますが、デメリットもあります。特に、寒い地方で買い替えると最大のメリットであるランニングコストの節約効果が減ってしまうので注意しましょう。
「エコのたつじん」はメーカー正規品を低価格で販売しておりますエコキュートに関する知識が豊富なスタッフが対応致しますので、石油給湯器からエコキュートへの買い替えを考えている方は、ぜひご相談ください。